坐骨神経痛とは
腰のあたりからつま先まで伸びている末梢神経「坐骨神経」の炎症に伴って発生する痛みのことを、坐骨神経痛と呼びます。
病名ではなく、さまざまな疾患を原因として起こる、症状のうちの1つです。
症状
お尻、太もも、脛、ふくらはぎ、足先などに痛み、あるいは痺れをきたします。
痛みの種類は、鋭い痛み、電気が走ったような痛み、強く張っている感じの痛みなど、さまざまなものが存在します。
危険な坐骨神経痛のサイン
以下のような坐骨神経痛は危険ですので、早期の受診をおすすめします。
- 麻痺(足の動きにくさ)と疼痛が急に悪化する場合
- 熱が出たり、癌が疑われる状態での坐骨神経痛
- 排尿、排便障害を伴う坐骨神経痛
- 保存的加療でも3ヶ月以上続く坐骨神経痛
坐骨神経痛になる原因
腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、梨状筋症候群などの疾患を原因として起こります。
腰痛椎間板ヘルニア・梨状筋症候群は若い方に、腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症はご高齢の方に多い傾向があります。
坐骨神経痛と間違えやすい病気
血流障害を伴う下肢閉塞性動脈硬化症、下肢末梢動脈疾患などは、下肢の痛みや痺れなど、坐骨神経痛と似た症状をきたすことがあります。
こういった病気が疑われる場合には、必要に応じて適切な医療機関をご紹介します。
治し方(治療方法)
坐骨神経痛の治療には、保存療法と手術療法があります。
当院での治療方法
保存療法
薬物療法としては、消炎鎮痛剤、疼痛改善剤、SNRI、ステロイド剤(短期間)、筋弛緩薬といった内服薬、湿布や塗り薬などの外用薬処方、神経ブロック注射などがあります。
また、血流を改善するためのホットパックによる温熱療法、痛みが出やすい姿勢を避けるための腰椎ベルトやコルセットを使った装具療法なども有効です。
意外に思われるかもしれませんが、安静にしすぎず、疼痛の許す範囲でできる限り動いた方が良いとされています。
手術療法
保存的加療で症状が長期間に改善しない場合などには、手術を検討します。原因となっている疾患に応じた手術が必要です。
手術が必要になった場合には、順心神戸病院に入院していただき、院長が出向き、執刀することが可能です。
坐骨神経痛は自然治癒する?
坐骨神経痛の半分以上は自然に治るとされています。ですから、決して悲観する必要はありません。
一方で1割程度の方は改善が難しいとされており、まずは正確な診断をうけることをおすすめします。
坐骨神経痛の人がやってはいけないこと
長時間同じ体勢で座る
お尻の筋肉が緊張し、坐骨神経を圧迫します。
デスクワークの方は、特にご注意ください。30分に1度程度は休憩し、ストレッチをしたり、歩いたりしてください。
重い荷物を持つ
重いものを持つことで、腰に負担がかかります。特に中腰で持つのは良くありません。
腰椎椎間板ヘルニアの発症・悪化の原因になることがあります。
激しい運動をする
坐骨神経痛のある方は、激しい運動(ジャンプ、着地を繰り返す、体を強くひねる、など)を行うことで、腰の神経が傷つき炎症が悪化する可能性が高くなります。
ずっと寝ている、できれば安静を避けて、いつものように動いたほうが良いです。