頚椎症性神経根症とは
頚椎症性神経根症は、20~40代の方によく見られる疾患です。
首の骨に負荷がかかり続けることで椎間板が変性(頚椎症)して骨棘を形成し、これによって頚椎にある細いトンネル「椎間孔」が狭くなり、神経根が圧迫されたり刺激されることで肩や腕の痛みや痺れといった症状をきたします。
頚椎症とは
首の骨(頚椎)に負担がかかり続けることで、頚椎の関節・椎間板、あるいはその周囲の筋肉にダメージが蓄積し、首の痛みや張りなどの症状が出現します。
加齢、不良姿勢を主な原因とします。
神経根とは
脊髄から左右に枝分かれをしている細い神経のことを指します。首の神経根については、左右にそれぞれ8本ずつ、計16本が枝分かれしています。そして、神経根が通る穴のことを「椎間孔」と呼びます。
頚椎症性神経根症の症状
肩から腕にかけての痛み、腕や手指の痺れを主な症状とします。
痛みの程度は軽いものから我慢できないほど辛いものまでさまざまです。
頚椎を後方に反らしたとき、症状が強くなります。
原因
加齢や不良姿勢によって発症する頚椎症を原因とします。椎間板が膨らんだり骨棘が形成されることで、神経根が圧迫されます。
近年は、スマートフォンやパソコンの普及、運動不足などによって、不良姿勢の認められる方が増えています。
症状を悪化させる原因となる動作
症状を悪化させる動作としては、以下のようなものが挙げられます。
- 重いものを持つ
- デスクワークや庭仕事などで同じ姿勢を30分以上継続する
- 首を過度に倒す、回す
- うつぶせ寝
検査・診断
症状をお伺いした上で、上肢の感覚異常の有無、筋力低下のチェック、神経根の障害を調べるスパーリングテスト、レントゲン検査などを行い、診断します。
脊髄や神経根機能の異常が疑われる場合には、MRI検査が必要です。MRI検査が必要になった場合には、近隣医療機関と連携します。
治し方(治療方法)
大きく、保存療法と手術療法に分けられます。保存療法では、ブロック注射にも対応します。
保存療法
安静を第一とし、頚椎カラーを使った装具療法、痛み止めや湿布などによる薬物療法を行います。
多くのケースにおいて、保存療法によって症状の改善が期待できます。
ブロック注射
上記の保存療法で十分な効果が得られない場合には、麻酔薬を神経に直接注入するブロック注射を行います。
手術療法
手術は大きく、首の前方からアプローチする前方除圧固定術と、後ろからアプローチする後方除圧術に分けられます。
前方除圧固定術
首の前方から切開を加え、椎骨を削り、神経を圧迫する骨・突出した椎間板を切除します。その上で、自家骨や人工骨、またはスペーサーを挟み、スクリューとプレートで固定します。
後方除圧術
首の後方から切開を加え、狭くなった椎間孔(神経根が通るトンネル)を拡大し、神経根の圧迫を取り除きます。
手術が必要になった場合には、順心神戸病院へと入院していただき、当院院長が出向いて執刀することが可能です。
どれくらいで治る?
保存療法では、数週間~数カ月くらいで症状の改善が期待できます。
手術の場合、手術の翌日から立つ・歩くといったことが可能になります。痛みについては術後速やかに改善しますが、痺れについてはやや時間がかかります。
注意事項
寝るときの姿勢
まず、うつぶせ寝、手を枕にして横向きに寝ることは避けてください。頚椎症性神経根症に限ったことではなく、頚椎に負担がかかります。
基本は仰向けとし、枕の高さを調節しましょう。枕を試すにあたってそのたびに買い替えていてはお金がかかりますので、タオルを重ねるなどして調整し、ご自身に合った高さを調べておくのがよいでしょう。
やってはいけないこと
ポイントとなるのは、首を曲げて下を向く・上を向く姿勢を長時間続けないことです。
パソコンやスマートフォンの操作、勉強、読書、編み物、机での手元の作業、編み物、高い位置にあるテレビを見るといった動作において、下を向く・上を向く姿勢が長くなりがちです。
やむを得ずこのような姿勢をとる場合も、20~30分ごとに休憩を挟むようにしてください。